スタートアップとSIer(SES)の違い

初めてIT業界へ転職される方へ

※この記事は凡そ3000文字です。読了目安6分です。

同じIT業界ですが、働き方が全然違います😮
未経験者の方がIT業界へ転職する際に、
間違えないように説明したいと思います。
※私はスタートアップとSIerの両方で働いた経験がありますので専門的に図解します。

図にしてみました。

まぁ、そのですね・・・。
ドラクエやったことない人には、ピンと来ないかもしれないですが😅

もう一回ちゃんと説明しますね・・・。

図解してみました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-10-1024x579.png

えっとですね・・・。

最初はですね、こんな感じで説明しようと思ったんです・・・。

いや~なんか違うかな~と思ったので。

メタルスライムと合体スライムです。

スタートアップはメタルスライムです。
 防御力が強く、倒すと経験値も沢山手に入ります。

SIer(SES)は合体スライムです。
 8匹集まるとキングスライムになります。

SIer(SES)から理解すると、よく分かる筈

まず日本のIT業界=SIer(SES)です。
一般的な働き方と少し違います。
何が違うかというと、SES的な働き方です。

まずそこから理解すると、スタートアップとの違いや、転職時に何を気を付ければよいのか、自ずと分かると思います😀

SIerとは

SIerは”エスアイアー”と読み、システムインテグレーターの事です。
何をしてるかというと、事業会社のIT部門の仕事を請け負ってる会社です。

ここで言う「事業会社」は、大企業が多いです。
上場企業もよくありますね。
「SIer」側も同じく大企業です。

なので、「SIerで働く!」となると、
殆ど「大企業で働く!」と同じです。

代表的なSIerは、
 ・富士通系、日立系、NEC系、NTT系、商社系。
 ・IBM、TIS、NRI(野村総合研究所)、NOS(ネットワンシステムズ)
いま記載したSIer企業で、日本の上場企業のSI事業の8割は受注してると推測します。(日経「業界地図」などのデータ参考)
(中小企業だと大塚商会がシェアを持っているみたいです)

SESとは何ぞや

しかし、実際に大企業の社員になるわけではありません。
これは、SESのせいです😅
SESとは”派遣”の事です。お客さんのオフィスで働きます。
でも法律上の”派遣契約”ではないのがポイントです。
(詳しくはこのサイトへ。とても分かりやすいです)

つまりSESとは
「法律上は派遣じゃないけど、派遣みたいに働くこと」
です。

SIerとSESはセットである

例えば、
 事業者側がHONDA
 SIer側が富士通だったとします。

その場合は、皆でHONDAのオフィスで働きます。
これがSES的働き方です。

SESが問題視されるのはなぜか?

SESが悪いように言われてる記事を見たことがあると思うのです。
何がダメなんでしょうか?
SIer(SES)は構造上、多重下請け構造になります。

これに起因して、色んな問題が起きるのですよね・・・。
だから、「ダメだ」と言われがちです。
例)
 法律、労働環境、パワハラ、デスマーチ、所属会社同士の縄張り争い、中抜きスカウト、やる気の無い社員、クオリティ管理などなど・・・

ただ、個人的に一番の問題だと思うのは、
 「同じ仕事してるのに、人によっては給与がめちゃめちゃ低い」
事です。

SES一番の闇は”低賃金”

お金の単位はゴールドです(笑)

賃金を図に追加しました。
あくまで参考ですが、感覚としてはこんな感じです。

(注※あ、仮の話ですよ!単位もゴールドです!)

問題点は、3次請けだと思ってたスライムの所属会社はもっと下流で、実は4次請けや5次請けの会社が存在すること。
そして、そこに所属するスライムは低賃金である事。
にもかかわらず、みんな同じ仕事をしていることです。

この不公平感は半端ないです

考えてもみてください。
HONDAのオフィスで仲良く勤務のSIerのスライムたち。
みんな同じチームで同じ仕事をしている。
(PM(プロジェクトマネージャ)やリーダー以外は)

にもかかわらず、あなたの所属会社が商流の下なだけで、給与にとんでもない差が出るのです。同一労働同一賃金など、どこへやら。

これは私の実体験ですが、
同じプロジェクトで月給20万円を切る人に会ったことがあります。
恐らく、5次請けくらいの会社さんだったのではと想像します。

(因みに金額感ですが、大体合ってると思います。
 SES営業マン時代の相場観です。短期間ですが。
 まぁ最大の250は海外で会った商社系SIerの凄い人なので、例外値かも。)

なぜSESは多重下請けになっちゃうのか😔

大きく2つあります。
 ①SIerの仕事はプロジェクト単位である
 ②IT業界が人手不足である

①SIerの仕事はプロジェクト単位である

プロジェクト単位なので、労働力の需要が大きく変動します。
そのため、解雇が柔軟にできない正社員では、繁忙期や閑散期の対応ができず、下請け(協力会社)との契約により労働力を工面することになります。
需要が増えれば、協力会社に人を集めて貰えば良いし、需要が減れば契約を解除すれば良いだけ。となります。
(建築業界を参考にした説があります)
労働者側のデメリットは、長期安定したプロジェクトにアサインされない限り、現場※がコロコロ変わり安定しないことです。
 ※SESでは働くプロジェクトを現場と呼びます。

②IT業界が人手不足である

実は「IT業界が慢性的な人手不足」である。
というのが多重化が止まらない原因だと思っています。
例えば今回の図だと、3次請けの会社が必要なメンバーを全員用意できれば、4・5次請けにお願いする必要はないわけです。
でも、お願いすることになる。
それは「人が足りないから」です。

余談)まぁそのほかにも色々な理由があります。プロパーが「ベンダーの冗長化構成」と言って、複数のベンダーに発注し、プロジェクトを安定させる手法を取ってる現場もあったりします。(一つのベンダーがダメになっても、プロジェクトが回る。また一つのベンダーが力を持ちすぎて、価格交渉してくるのを防ぐ等の効果がある)

だからこそ、SESはIT未経験者にお勧めです!

私は未経験の方がIT業界へ転職する時、
まずはSIer(SES)が良いのではないかな?と思ってる派です。
これは、私自身がスタートアップとSIerの両方を経験した結論です。

SIer(SES)お勧めの理由
 ・人手不足だから入りやすい
 ・業務がテンプレ化されてる率が高い
 ・よって、高レベルなITスキルを要求されない
 ・大手なので社内育成や労務管理がしっかりしてる事が多い
 ・一個人の判断で、やばい失敗が起きないようになってる事が多い
 ・現場が終了しても所属先の営業さんが探してくれる
 ・上手くいかなくても受け皿がいっぱいある
 ・プロパー企業や2次請けクラスだと面接で学歴が重視される場合もあるが、3次請け以下の企業であれば学歴偏重ではない
 ・最初は商流の下でも実力があれば成り上がれる
 ・多重下請けだから商流の間の企業が緩衝材になってくれる
 ・実力をつけて、スタートアップに転職も可能

因みに、私は学歴もFランだし、職歴もボロボロの状態から27歳の時にSESでネットワークエンジニアへ転職しました。
最初は給与的には低いですが、現場は希望する内容でしたし、楽しかったです。
1年半後にお声が掛かりマネージャーになった時は、プロパー企業の社員さんと一緒に大企業と仕事をさせて頂きました。
周りは学歴の高い人ばかりでした。(東大・京大が多かったです)
私は「学歴や大企業には縁のない人生」を進んでいましたが、あれはあれで良い経験をしたなと思っています。
学歴や職歴がなくても、頑張り次第で成り上がれるのがSESの醍醐味だと思います。

SESの具体的な活用方法を書きました🌜

合法的な職歴ロンダリング:凡人の生存術

いきなりスタートアップをお勧めしない理由

 ・即戦力が求められる
 ・事業立ち上げフェーズのため、業務テンプレは無い
 ・社内体制(育成や労務管理)が整ってない場合が殆ど
 ・自走が求められる
 ・一個人の判断でヤバい失敗に発展する可能性を秘める
 ・その職場が合わなかった時は転職しかない
 ・仕事量の調整がし辛い(激務の可能性あり)

まぁ、スタートアップといってもメルカリのようなメガベンチャーもあれば、2,3人でやってる本当のベンチャーもあり、一概には言えないのですが、基本的には

「放置プレーされても結果を出せる即戦力」

が求められています。
IT業界未経験だと、厳しい道のりです。
「それを求めてるんだ!!!」という人以外は、お勧めしません😶

このTweetは、そういった理由で呟いてみました。
Techcampに限らず卒業後にSESを勧めるのは、合理的配慮であり、そんなスクールを叩くのはお門違いだと思います😮
(ソーシャル上で、スクールがSESを勧めるのを叩く人がいたので)

スタートアップの働き方

SESのような多重下請け構造は、スタートアップにはありません。
雇用されれば、そこの社員として普通に働きます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-10-1024x579.png

一般企業の雇用と同じなので、分かりやすいですね。
しかし、こんな構造だったりします。

あと、こんな構造もあります。

自社サービス開発なのか、受託開発なのか

スタートアップで働くときに気を付けるべきは、
その会社が「自社サービス開発」か「受託開発」か?です。

自社サービスとは?

 自分たちが作ってるサービスのこと
 株式会社メルカリにとっての、フリマアプリ「メルカリ」です。
 以下、労働者目線のメリットとデメリットです。

 メリット
  ・自分たちのサービスを作れること
  ・自社で「作りたい!」と思ったものを作れる
  ・サービスを育てる事ができる

 デメリット
  ・サービスの責任は全て自分たち
  ・稼げなくても自分たちの責任
  ・そのサービスが好きになれないと地獄

 その他、特徴
  ・0 – 1のフェーズは一瞬だけ
  ・安定し始めるとやる事がない
  ・そのサービスの経験しか積めない

受託開発とは?

 顧客に「作って!」と言われたサービスを作って納品すること
 以下、労働者目線のメリットとデメリットです。

 メリット
  ・納品さえすれば、お金が貰える
  ・サービスはお客さんが考えてくれる
  ・色々な開発経験が積める

 デメリット
  ・サービスはお客様のもの
  ・大当たりしても、お客様のもの
  ・そのサービスが嫌いでも作るしかない

 その他、特徴
  ・0 – 1のフェーズを沢山経験できる
  ・色んな業態の知識が得られる
  ・顧客とのやりとりや進め方は毎回違う

たまに、「自社サービスが良いのだ!受託開発はダサい」論を唱える人がいますが、個人的にはそうは思わないです😶
理由は、「受託開発の方が、色んなスキルが得られる」可能性が高いからです。

個人的な一番のお勧めは、
 ・自社サービスがメインである
 ・しかし、受託開発もしている
 ・社内の色んなプロジェクトに携われる
企業です。

気になる方は、面接時に訊いてみると良いと思います。

また会社側もエンジニアのスキル向上のためや、会社の資金を安定させるために受託開発を続けてたりします。

SESにしかないIT職種

最後に、「SESにしかないIT職種」の紹介です。
それはITインフラエンジニアです。
ITインフラエンジニアとは、物理と論理のITインフラを設計・構築する人です。
昨今のスタートアップには存在しません。
理由は、スタートアップ社内には存在しない仕事だからです。

また、プログラミングできない人でも潜り込める職種として注目です🌞

代表的なITインフラエンジニア

・ネットワークエンジニア
 (ネットワーク機器の物理・論理構成を設計・構築する)
・サーバーエンジニア
 (物理サーバーのアーキテクチャを設計し、筐体をキッティングしラックマウントまでする人)
・データベースエンジニア
 (データベースサーバーの物理的なアーキテクチャから考える人。DBのテーブル設計したり、SQLだけを書く人ではない。)
・ストレージエンジニア
 (ストレージのアーキテクチャを考え実装する人。データセンターで良く見かける)
・データセンタエンジニア
 (データセンタの物理的なアーキテクチャから考える。建築構造や物理的なゾーニングに対しても詳しい必要がある)

その他、SESで見かけるエンジニアたち

・キッティングエンジニア
 (筐体(サーバー・PC問わず)に設定を入れる人)
・PCのキッティングとデプロイ
 (1000台以上のPCに設定を入れて、各拠点に配備する人達。
  SIer(SES)でしか見たことない)
・ネットワーク監視

因みに、スタートアップの人が言う「インフラエンジニア」とは違います。
スタートアップの人が「インフラエンジニア」という人は、バックエンド開発やAWS,GCPを使える人の事です。
全て論理的な設定や構成を考える人で、物理構成を設計・構築したりしません。
その点において、ITインフラエンジニアと違います。
ITインフラエンジニアの人はその人たちの事を「アプリ担当」と呼びます😅